私は古本にはまりはじめたのが、神保町でアルバイトを始めたがきっかけだったので、神保町だけなら計200回以上は回っていると思うが、しかし、それ以外の古書街にはそれほど何度も足を運んでいるわけではない。そんなわけで、高円寺で開かれる古書市にも「どうせたいしたものないだろう」とタカをくくって、足を運んでいなかった。しかし今年に入って、知人が「結構いいよ」というので足を運んでみて驚いた。たしかに、神保町ほどの品揃えはないものの、値段の安さと掘り出し物という点で、高円寺の古書市はものすごくすばらしい場所だったのだ。前から何度も足を運んでいれば、どれほどの掘り出し物があったことだろうと、後悔している。
私が古書愛好会に行ったのは初日の11月3日の夕方4時ごろである。ちょうど中野の島忠に行く用事があったのでその後ついでに足を伸ばした。あいにくの雨で本を持ち帰るのが大変だった。帰りに高田馬場のツクモ電気にもよったのだが、でかい袋を重そうに抱えた私の姿は異様だったに違いない。
伊藤隆『昭和史をさぐる』 300円 (オヨヨ書林)
実証的な歴史分析と、史料の発掘・公刊によって、多くの功績を残してきた伊藤隆氏の著書。同氏の『昭和初期政治史研究』はずっと古書店で探しているのだが、どこも高い値がついていて、買っていない。復刻もされたのだから、もう少し安くすればいいのに。ひどいところでは2万円で売っていたりする。新刊でも7000円なのに、何故?
豊田穣『最後の元老西園寺公望』上下2冊(新潮文庫版) 300円 (オヨヨ書林)
私は以前西園寺公望に凝っていて、西園寺に関する著書をことごとく集めた。右翼のパンフレット類と静岡県警の警備記録以外は、ほとんど集めつくしたと思うが、これの文庫本はもっていなかったので購入(ハードカバーの方は持っているのだが)。しかし、これほど多くの西園寺本を買ったにもかかわらず、実は読んだのは立命館の『西園寺公望伝』と『小泉三申全集』の第三巻、それから『陶庵公清話』『陶庵随筆』ぐらいなものなのだ。『西園寺公と政局』すら実は読んでなかったりして・・・情けない。
前島省三『明治の元勲たちー官僚王国の源流ー』 300円 (悠山社書店)
徳間書店の新書。初めて見た本なのでとりあえず買っておいた。パラパラめくってみた感じでは、結構よく調べているのに、肝心なところで先入観による判定を下してしまっている。昔の本だから仕方ないだろうけど。
山折哲雄『近代日本人の宗教意識』 300円 (悠山社書店)
岩波のハードカバーが300円とは、恐るべし。特にほしい本でもなかったが、安いので購入。
星野武男『明治天皇御製新講』 500円 (昌輝書店)
最近明治天皇関係の著書を集めており、これもどうでもよさそうな本だったが一応安くて函つきなので購入。『明治天皇御集』って大正になってから作られているけど、どういう経緯で編輯されたのか、どのような取捨選択がなされたのか、修正とか加えられてないのか、などを研究したものってないのだろうか?まあ、そういう史料は宮内庁が絶対にださないだろうから、明らかにしえないのかもしれないけど。誰か知っている人がいたら教えてください。
渡辺欽城『三多摩政戦史料』 1200円 (金峯堂書店)
少し高いような気もしたが、定価は2800円だし、神田の某書店では5000円で売ってたしと思い購入。三多摩壮士には以前から関心があり、その名も『三多摩の壮士』という本をずっと探しているが未だ安いのがみつからない。
山崎丹照『内閣制度の研究』 300円 (啓明書店)
これはレアな本だ。きっと高いんだろうな、と思い裏表紙をめくるとなんと300円。安すぎるぜ!著者は当時法制局参事官で、官僚らしく、制度の変遷を手際よくまとめている。またその制度の運用の実態や、内閣と統帥権の関係など、とても有益で便利な本である。今回の掘り出し物の一つである。この著者は少なくとも4年前までは存命だった。、4年前に『天皇制の研究』という本の新装復刻版を出している。ほかにも『外地統治機構の研究』という本も書いていたと思う。
渡辺新三郎『明治天皇御製謹解』 500円 (水平書館)
これは本当にどうでもよさそうな本で、内容も大したことないのだが、とりあえず明治天皇関係ということで買っておいた。
渡辺幾治郎『昭憲皇太后の御坤徳』 1500円 (出品店不詳)
渡辺幾治郎先生の本は集めているので購入。函つきでうれしい。しかし渡辺幾治郎先生は何でこんなに天皇・皇后が大好きだったのだろう。歴史的な功績はすべて天皇・皇后のものになっている。そのうちのほとんどは臣下が手はずを整えたものだっていうのは、あれだけ史料を読んで入ればわかっていたであろうに・・・。
『読売新聞百年史』 2500円 (晴山書房)
これが一番の収穫。読売の社史はいくつか出ているが、これはそのうちでもっとも優れたもの。小野梓がペンネームを使って読売に書いていたというのも、この百年史を執筆した人(名前忘れた)が発見した事実だということを、以前『小野梓全集』編集に関わっていた人から聞いたことがある。しかし雨の中重くて重くて持ち帰るのが大変だった。
このほか、『対支回顧録』が6500円で買おうか迷ったが、ちょっとぼろぼろで壊れそうな本だったのと、もう既に持ち帰るのに大変なほどの量を買ってしまっていたのとで、買わなかった。
きっと朝早くくればもっと掘り出し物があるに違いない。知人の話では、会場がせまいので、開場後しばらくは押し合いへしあいでものすごい状態だとのことである。
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