入手したのは、古書店「梁山泊」店主で、同業者から入手した古新聞の束に、1冊だけ交じっていたということ。以下記事から引用すると、
8月23日付の創刊号(16ページ)で、縦26センチ、横19センチ。発行元は「京都市河原町通三條大黒町 平民新聞社」となっている。
京都新聞の前身「京都日出新聞」の同年8月24日付によると、平民刀は創刊当日の未明、京都府警から治安妨害を理由に発行停止を命じられた。百二十部が差し押さえられたが、すでに大半は配られた後だったという。翌年5月28日付の記事でも、「第五平民刀」の発行停止が報じられており、同誌は少なくとも5回の発行と差し止めを繰り返したとみられる。
当時の法律では自由な言論・表現が制限されていた。今回、見つかった創刊号の「発刊の辞」には、同誌が「平民主義を抱く者」にとっての刀であり、「平民刀の荒療治」でしか京都の改革はできない、と急進的な主張が掲載されている。
続く記事では、京都の政財界の有力者を厳しく批判している。挿絵には、画家鈴木万年の筆で、血しぶきを上げて飛ぶ人の首が描かれている。
ということです。
記事では、松尾尊~(たかよし)・京都大名誉教授の「市内における自由民権運動を知る上で貴重な史料だ。平民新聞社はかつて、中江兆民も執筆した雑誌『活眼』を発行していた。彼の影響を受けた編集者たちが、言論の自由や地元京都の改革を目指して『平民刀』を作ったのだろう」というコメントも掲載されています。
この後、この雑誌がどこに所蔵されるのか、興味があります。また松本健一『幻影の政府』などでも紹介されていますが、この前後、新聞紙上には見えるが現物が残存していない雑誌が多く発行されていますので、今後そうした雑誌も多数発見されると面白いですね。
詳しくはこちら
「幻の雑誌「平民刀」発見」(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009010900038&genre=K1&area=K00